重層的支援体制整備で子ども支援はどう変わるか 〜名古屋市・名古屋市港区の取り組みから学ぼう〜
日時:9月21日(木)13:30~15:30
会場:あいち・子ども NPO センター
講師:高木 剛さん(名古屋市社会福祉協議会 地域福祉推進部次長)
神藤 幸美さん(港区社会福祉協議会 事務局次長)
令和3年度に改正社会福祉法施行により、重層的支援体制整備事業(以後重層事業と表記)が開始されました。重層事業とはどのようなものなのか、どのように実施されているのか、名古屋市の取り組みを名古屋市社協の高木さんから、港区社協の神藤さんからは具体的事例をまじえてお話を伺いました。
○まずは、重層事業とは?
この事業は、複数の問題が混在していたり、制度の狭間で今まで支援の手が届かなかった世帯・個人を対象としており、そのような人たちと地域とがつながりを持つことで、世帯員それぞれが必要なサポートを受けられるようになることを目的としています。(港区社協チラシより引用)
○ 重層事業ができた背景にはどのようなことがあったのでしょうか?
8050問題といわれる要介護の80代の親と障害が疑われる50代の子とのケースや、高齢者虐待と児童虐待のある4世代同居のケースなど、家庭が抱える問題が複雑化、複合化してきています。個別のサービスを当てはめるだけでは家庭の複雑化した問題を解決することはできません。地域住民の支援ニーズに対応する「断らない包括的支援体制」が必要となってきました。
○ 重層事業の支援の体制はどのようなものなのでしょうか?
① 相談支援 包括的に相談を受け止め、必要に応じて他機関協働のコーディネートや伴走支援を行う。
② 参加支援 相談支援と一体的に行う。就労支援、居場所支援の提供など多様な社会参加に向けての支援の実施
③ 地域づくり支援 住民同士が出会い参加することのできる場や居場所の確保に向けた支援、ケアし支え合う関係性を広げ、交流・参加・学びの機会を生み出すコーディネート機能を合わせた事業を実施
○ 実際の取り組み~令和5年度より施行実施の港区の取り組みより~
重層拠点としてみんなの居場所プロジェクトを実施。子どもから大人まで気軽に立ち寄れる場での多世代交流を多機関協働で一体的に行っています。交流のツールとして、ボードゲームやカードゲーム、畑作業、駄菓子や福祉施設の商品販売があります。参加支援の一つとして、支援対象者が自分のできることを行い、参加者から拠点のスタッフとしての関わりへと変化し主体的な参加へと移行していくことを、今後の展開として見据えているとのことでした。
○ 重層事業によって期待される効果
課題の早期発見により深刻化する前に解決することができる。多様な主体と協働して新たな社会資源を作り出すことができる。
◎自助にも限界が、公助にも限りがあります。これからの地域づくりの中で、共助の力を備えていくことがいかに大切かと強く感じました。
(文責 岩根)